高齢者のうつ病と認知症の違い
高齢者のうつ病は、もの忘れや思考力の低下など認知症と似た症状があり、診断が難しい場合があります。
高齢者のうつ病と認知症の違いを以下の表にまとめましたのでご覧ください。
医師の診察だけで十分に判断できない場合には、家族からの日常生活に関する情報が重要です。
気になる症状や行動は、できる限りくわしく医師へ伝えてみてください。
高齢者うつへの家族の対応
次に家族の対応についてお話していきます。
うつ病の高齢者にとって、家族の協力が大きな支えになります。
ここでは、うつ病の高齢者をもつご家族が知っておくと役立つ4つの対応を解説します。
一緒に病院に行く
できる限りご家族も一緒に病院に行くことをおすすめします。
うつ病には診断基準がありますが、それだけでは正確に状態を判断することができないからです。
ご本人からの情報にあわせ、日常生活に関する家族からの情報が診断の助けになります。
具体的には、
- きっかけになった出来事の有無
- もともとの性格やライフスタイル
- 趣味や好きだったこと
- 現在の外出頻度
- できなくなっている家事や困っていること
などです。
ゆっくり見守る
ご本人の行動や言動をゆっくり見守ることをおすすめします。
うつ病の治療は若い人でも時間がかかりますが、高齢者の方だと治療の効果が出るまでさらに時間がかかる可能性があります。
「はやくよくなってね」「がんばってね」という言葉は不安を増長させたり、あせらせたりして症状を悪化させてしまうかもしれません。
ご本人の言動を、あせらずゆっくりとした気持ちで見守ってあげてください。
薬の副作用や症状の変化を医師へ伝える
薬の内容や量が変更になったときには、症状が変わったかどうかをご家族から医師に伝えるのが効果的です。
うつ病の高齢者の方は、薬の副作用や症状の変化を医師へ伝えることが難しい場合があります。
「今までなかった新しい症状が出た」「薬を増やしてから寝ていることが増えた」など気づいたことは、ぜひ医師へ伝えてください。
家族からの情報は、治療法を決める際の重要な判断材料です。
大切な判断が必要な場合は先延ばしにする
うつ病の症状がひどいときには、大切な判断を先延ばしにすることをおすすめします。
うつ病のときには判断力が低下し、いつもならしないような判断をしてしまうことがあるためです。
また「何かを決めなくてはいけない」ということがご本人へのプレッシャーやストレスとなり、うつ病の症状を悪化させるかもしれません。
ご本人のストレスになりそうなことはできるだけ避け、ゆっくり治療に専念できるよう見守ってあげてください。
老人性うつは判断が難しい
高齢者のうつ病は認知症と思われたり、からだの不調とされたりして、発見するまでに時間がかかるケースも少なくありません。
また高齢者のうつ病は自殺につながるケースも多く、注意が必要です。
高齢者のうつ病は、専門家の治療を受けることで症状の改善が見込めます。
ご家族の症状で気になることがある場合には、認知症外来などを備えた精神科へご相談ください。
いかがでしたか?
ご家族や身近にいる方で、行動や言動で気になることはありましたか?
些細な変化でも、ご本人様からしたら重要な変化かもしれません。
まずは気にかけてみることが大切です!
それでは、また次のコラムでお会いしましょう!

- 監修/吉田 まりか
- 2021年に准看護師免許取得。 精神科にて2年間勤務し、統合失調症や認知症を中心に幅広い疾患についての知識を習得。その後、介護業界へ転職し2024年にRedBear入社。ヒアリング技術が高くお客様の悩みを引き出すことが得意な看護師。