そもそも、「息切れ」とは?
私たちは安静にしているとき、特に意識しなくても自然に呼吸をすることができています。
「息切れ」とはこの呼吸をする際に、“努力が必要な状態”や“息苦しさ等の不快感を感じる状態”のことを指します。
つい「歳のせいかな」と放置してしまう方も多いかもしれませんが、息切れの原因は加齢だけとは限りません。
先程の項目に1つでもチェックが付いた方や気になる症状がある場合は、一度かかりつけの先生に相談してみるのもよいかと思います。
なぜ高齢になると息切れするのか?
息切れをする理由は、体を動かすために多くの酸素が必要になるためです。
年齢を重ねていくと呼吸筋の筋力が低下することや呼吸に関わる心臓や肺などの臓器の機能が低下して、息切れが起こりやすくなります。
息切れから考えられる呼吸器疾患
《 気管支喘息 》
気道に慢性的な炎症が生じ、様々な刺激に気道が敏感になり発作的に気道が狭くなるのを繰り返す病気です。
発作時には「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった喘鳴とともに息切れが生じることがあり、ほこりやタバコの煙、ストレス、ペットの毛などが原因で発症します。
夜間から明け方にかけて症状が悪化しやすく、鎮痛剤の使用(アスピリン喘息)や運動の後(運動誘発性喘息)に発作が出現する事もあります。
《 心不全 》
心臓は血液を全身に送り出すポンプのような役割を担う臓器です。
心臓の機能が低下してしまうと、全身に十分な血液を送れなくなってしまいます。この状態のことを「心不全」と呼びます。
体に必要な酸素や栄養が足りなくなるので、息切れや動悸、倦怠感、浮腫などが発生し、そこから運動耐容能が低下してしまいます。
体の中で血液が滞る「うっ血」が進むとさらに呼吸が苦しくなり、横になって眠れない「起坐呼吸」といったような状態になることもあります。
《 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 》
タバコの煙を主とする有害物質を長期にわたって吸入することで肺に炎症が生じ、肺気腫や慢性気管支炎を伴った病気の総称です。
咳、痰、身体を動かしたときの息切れ(労作時呼吸困難)が主な症状として挙げられます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の約9割が喫煙者と言われており、喫煙を始めた年齢、喫煙本数、喫煙年数などの喫煙量に比例して発症リスクが高くなります。
《 間質性肺炎 》
肺が炎症などで肺胞壁が厚く(線維化)なることで硬くなり、空気を吸っても十分に肺が膨らみにくくなる病気です。
また、厚くなった肺胞壁が正常のガス交換を妨げるため、息切れや咳などの症状が見られます。
関節リウマチなどの膠原病や、薬・漢方薬・サプリメントなどの健康食品、ホコリや石綿、ペットの毛やカビなどの慢性的な吸入、特殊な感染症などが原因として知られています。
半数以上の症例が原因を特定できない特発性間質性肺炎であり、その中の特発性肺線維症(指定難病)は、50歳以上の喫煙習慣のある男性に多いことが知られております。
《 肺がん 》
肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。
早期には症状が見られないことも多く、肺癌の進行や胸水が溜まることなどにより生じる息切れが原因で発見されることもあります。
他の主な症状としては、咳や痰、血痰(痰に血が混じる)、胸の痛み、動悸、発熱などがあげられます。
肺がんの早期発見には、定期的にがん検診を受けること、体調に異常を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。
肺がん検診は身体への負担も少なく簡単に受けられます。40歳を超えたら年1回は肺がん検診や健康診断、人間ドックを受けておきましょう。
- 監修/村上 若奈
- 2021年看護師免許取得。 2021年アメリカ心臓協会(AHA)BLSヘルスプロバイダー取得。 総合病院にて看護師業務に従事したのちに介護業界へ転職。口腔機能に関する研究発表で得た知識や退院後の生活を見据えたサポート経験を活かし高齢者の皆様に最善のケアサポートを提供。 スポーツ経験も生かした訓練メニューが好評の看護師。