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2025 /5/15/ Thu

胃切除術後の食事、気を付けることは?

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看護師コラム

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胃の働きと胃切除によって生じる変化

胃は重要な役割を担っている

胃の重要な働きとして、
「食べた物を貯えて腸への負担にならない形に加工し少しずつ腸へと送り出すこと」
があげられます。
これはダムの働きに似ていて、ダムは水が一気に川に流れ込んで川が氾濫するのを防いでいるように、胃は腸の処理能力を超えるような多量の食物が急に流れ込まないように調節する役割を果たしています。

また胃液に含まれる胃酸は

  • 食べ物の消化を助ける
  • 殺菌をする
  • 鉄やカルシウムの吸収の補助

をしています。

 

胃は上記のような働きから「消化管の指揮者」とも呼ばれています。
胃がんなどにより胃を切除された方々は胃の働きが弱まったり、失われてしまいます。
胃を切除したことによる後遺症を、胃切除後症候群といいます。

 

胃切除後症候群

〇ダンピング症候群

早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群に分かれます。

  1. 早期ダンピング症候群
    食後5~30分で、冷や汗、動悸、めまい、しびれ、だるさなどの全身症状、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐、腹部膨満などの腹部症状が現れる。

  2. 後期ダンピング症候群
    食後2~3時間で、頭痛、倦怠感、発汗、めまい、脈や呼吸が速くなるなどの症状が現れる。

 

〇下痢

食べ物が一度に小腸に流れ込むことなどにより、神経反射が起こったり、腸の蠕動運動が過剰になることで生じる。

〇貧血

症状は、動悸や息切れ、めまい、疲れやすさなどで、鉄分やビタミンB12の吸収力低下などで起こる。

〇逆流性食道炎

噴門側胃切除で噴門部を失ったことにより、食べ物が逆流しやすくなるため引き起こす。
食後の胸やけ、むかつき、みぞうちの痛みが症状として現れる。

 

これらの症状は最も一般的な症状であり、手術を受けられたほとんどの方が経験される症状です。
多くの場合、術後3か月から1年くらい経つとだんだんと食事の量も増え、お腹の症状が現れにくくなります。
これには、お腹の働きが回復することと、お腹に負担をかけない食べ方のコツを習得することが関係しています。
自分なりの対処法を見つけながら、焦らず徐々に手術前の食生活に戻していきましょう。

監修/高畑 汐里
看護師・保健師免許取得後、大学病院の混合外科病棟にて3年間勤務。患者様の手術への不安に寄り添うことや看護へのやりがいを感じる中でも、もっと1人ひとりと向き合ってご高齢者の皆様を支えたいと思うようになり介護業界に転職。ご利用者様がいつまでも自分らしく生活できるよう、楽しい運動作りと笑顔になれる雰囲気づくりを心がけております。
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