🟢認知症と診断された時の対応
※ここからは認知症が引き起こす言動に対する基本的な接し方を症状別にまとめました。接し方に対する反応には個人差があるため、すべての方に適した方法とは言えませんが、一例として参考にしてみてください。
被害妄想への接し方
認知症になると、自分のものを他人に盗られたと思い込む「もの盗られ妄想」が起こりやすくなります。
その場合、身近にいる人間が真っ先に疑われますが、怒ったり否定したりすると、かえって興奮して逆効果になります。
話をよく聞いて、盗られたと思っていることに「大変ですね」などと共感し寄り添い、一緒に探して本人に見つけさせるように仕向けるなど、穏便に解決できる方法を模索しましょう。
暴力的な行動への接し方
暴言を吐かれたり、叩く・突き飛ばすといった暴力的な行動を取られたりした場合は、とにかく相手の気持ちを落ち着かせることを優先しましょう。
ひどい言葉をぶつけられると悲しい気持ちになりますが、言い返したり、力尽くで抑えたりするとますます激昂する可能性もあるので「落ち着いてほしい」「何に怒っているのか聞かせて」などと声をかけ、気持ちを少しでも鎮静化させることが大切です。
行方不明になった場合の対応
認知症になると記憶力が低下するため、外出先から帰宅できなくなる場合があります。外出させまいと、靴を隠したり、部屋の外側から鍵をかけたりすると、室内で暴れたり窓から脱走しようとしたりするおそれがありますので、過度な行動制限はNGです。
24時間家族が見張っているのも難しいので、もしもの場合を考慮し、名前や連絡先を記載したタグなどを身につけさせたり、いつも持ち歩くものにGPS機能をつけるなど、工夫をとり入れましょう。
失禁への対処法
トイレを失敗するのは本人にとっても大きな衝撃で、ひどく自尊心が傷つけられます。そこに追い打ちをかけるように叱ったり、責めたりするとトイレの失敗を隠すようになりますので、本人の自尊心を傷つけないよう、さりげなく片付けることを心がけましょう。
排泄を失敗する前に、定期的にトイレに行くよう声をかけたり、トイレの前に「トイレ」と大きな貼り紙をつけたりすると、トイレの失敗予防に役立ちます。
- 監修/榎戸 あすか
- 2019年医療事務管理士免許取得。二次救急指定病院にて、クリニック、入院病棟共に4年間医療事務として勤務した後に介護業界へ転職。医療の事務経験を介護業界でも活かすべく日々情報の吸収に勤め本コラムでも発信していきます。